コンロッド
コンロッドベアリング
コンロッドの役目:ピストンの往復運動 → クランクシャフトの回転運動
コンロッドは、ピストンとクランクシャフトを連結し、ピストンの往復運動をクランクシャフトの回転運動に変える役目をしている。コンロッドは次ページのような構造で、大きな繰り返しの衝撃力に耐えられるように特殊鋼を使用し、その形状の断面はI字又はH字形に鍛造されている。コンロッドの、小端部には、ブッシュがかん合わされ、ピストン・ピンを介してピストンが連結されている。コンロッドの大端部は、一般に図のような水平分割り式で、コンロッドベアリングを介してクランクシャフトのクランクピンにキャップボルト及びナットで取り付けられている。キャップボルトは、キャップの位置決めのためのリーマボルトと呼ばれる特殊なボルトが使用され、ひっぱり方向の大きな衝撃力に耐えられるように特殊鋼で作られている。
斜め分割り式コンロッド:水平割合のほかに斜め割合式ものがある。これは、クランク・ピンの径が大きくなると、分解時にコンロッドの大端部がシリンダ下部にあたり、コンロッドをシリンダ上部に抜き出せなくなる。(そもそもいらないだろう、組めない)ため、斜め割合式にすることによりエンジンの分解、組み付けを容易している。なぜ、クランクピン径が大きくなるかわかりますか。多分わからないでしょう。特にジーゼルエンジンはストロークが長いので、ストロークが長いということはクランク半径が長いことを意味する。(クランク半径:クランク中心からクランクピン中心の距離)クランクシャフトはピストンからの衝撃力を受け続けるので、強度が必要になるがストロークが長くなるとクランク半径も長くなり強度が落ちるのを防ぐために、ピンの径やクランク・ジャーナル(回転軸)の径を大きくしてお互いにオーバーラップするようにして強度を確保する。太くした結果、そこに取り付けるコンロッド大端部も大きくなり、割合と木の幅が、シリンダ径を上回ってしまう。
性能:圧縮力、引っ張り力、曲げ力 → 高強度、軽量、高鋼性
材質:ニッケル・クロム鋼、クロム・モリブデン鋼、炭素鋼
コンロッドは、圧縮力、引っ張り力、曲げ力などの荷重を繰り返し受けるので、これらに耐えること及び質量が小さいことが要求される。コンロッドの材質には、ニッケル・クロム鋼、クロム・モリブデン鋼などの特殊鋼、や、炭素鋼が用いられており、これを型打ち鍛造し機械的強度を大きくしている。小端部の形状は、並行形状が主流であったが、燃焼圧力の上昇に伴い、コンロッドとピストン両方の荷重を受ける面積を増やしたテーパ形状のものもある。
リーマボルド:普通ボルトは、ネジサイズより少し大きいボルト穴を開けます。精度要求ほぼなし(ばか穴と呼ぶ)。一方、リーマ・ボルトは、リーマという切削工具でボルト穴内径を一定の密度内に収め、ボルトの軸の外径も一定の密度に作られており、位置決め機能を持たせてある。
コンロッド・ベアリングに要求される性質
非焼きつき性:焼き付きにくい性質
馴染み性:最初は当たりが悪くてもすぐになじむ性質
埋没性:遺聞度を埋め込んでしまう性質
耐食性:酸などより腐食されにくい性質
耐疲労性:繰り返し荷重が加えられても、機械的性質が変化しくい性質。
焼き付き:摺動部が摩擦熱で高温になり、部分的に溶けてくっついてしまうこと
機械的強度:引っ張り強度、衝撃強度、曲げ強度、伸び
この5種類の要求される性質は、内容をよく理解しておいてください。
埋没性:メタル表面は柔らかく作ってあり、固い異物が混ざっている自らの中に減り込ませてしまい、それ以上損傷しない。
耐食性:エンジン・オイルは、ブローバイ・ガスなどにより酸化して酸化生成物が増加する。これらによる腐食を抑える。特に高温とき、そもそも、酸性物質は最初はないが燃焼過程は酸化反応を利用しているわけで、酸性物質ができてオイルに溶け込む。
ケルメット:機械的強度が高い
ホワイトメタル:馴染み性、埋没性が高い
コンロッド・ベアリング
コンロッド・ベアリングには、トリメタルやアルミニウム合金メタルなどがあるが、一般に図のようなインサート式(はめ込み式)のトリメタルが使用されている。
トリメタル:銅と20〜30%の鉛を加えた合金(ケルメット)を鋼製裏金に焼結し、その表面にベアリングの初期馴染みを良くするため、すずと鉛の合金メッキまたは鉛とインジウムの合金メッキが施したもので、ケルメット・メタルの機械的強度を生かし、その欠点である馴染み性、埋没性の悪さなどを、補ったものである。
アルミニウム合金メタル:馴染みを良くするため、アルミニウムにすずを加えた合金メタルと、鉛を加えた合金メタルがある。
アルミニウム合金メタル
軟鋼製裏金 + アルミ、すず、鉛
耐食性、耐摩耗性に優れている、許容温度も高い → メタルの幅が狭い
すずの含有量が高い → 耐摩耗性に優れいてる、熱膨張が大きい(X) → クリアランスを多く取らないといけない
アルミニウム合金メタル
アルミニウムに10〜20%のすずを加えた合金で、耐食性及び耐摩耗性に優れ、許容温度も高いので、メタルの幅も他に比べて20%程度狭くなっている。(狭くできる)。なお、すずの含有量の高いものは耐摩耗性に優れているが、熱膨張が大きいので、オイルクリアランスを大きくしている。
オイルクリアランス:コンロッドベアリングの組まれた状態で、組み付けてあるクランク・ピンの外径との隙間。
また、アルミニウム合金メタルには、馴染み性および耐久性をさらに高めるために、アルミニウム10%弱の鉛を加えたものもある。20%メタル幅を狭くできるということは、エンジン全長をかなり短くできることを意味している。設計上、極めて嬉しい特製である。
縦方向 > 横方向
A (厚い):上下方向の力がおおき、打音防止
B (薄い):潤滑作用を高める、組み付けを容易にする
コンロッドベアリングの肉厚は、この図のように中央部(上下方向)の肉厚に対して合わせ面(水平方向)を薄くしてある。
これは、ベアリングに加わる力は上下方向が大きく、その衝撃による打音などを防止スタ名、上下方向のクリアランスは狭くし、その分水平方向のクリアランスを大きくして、潤滑作用を高めるとともに、ベアリングとクランク・ピンの組み付けを容易にするためなどの理由による。
クラッシュハイト&ベアリングの張り
クラッシュ・ハイト:ベアリングの締め代のことを言う。クラッシュ・ハイトが大きすぎると、ベアリングにたわみが生じて局部的に荷重がかかるので、ベアリングの早期疲労は破損の原因となる。逆に、クラッシュ・ハイトが小さすぎるとコンロッドのキャップボルトを閉めづけても、ベアリング・ハウジングとベアリングの裏金との密着度が悪くなり、熱伝導不良となるので、焼き付きなどを起こす原因となる。
張り:ベアリングを組み付ける際、圧縮されるに連れてベアリングが内側に曲がり込むのを防止するためのもので、ハウジングに対して密着性を高めるために必要である。
クラッシュハイト = ベアリングの締め台
ベアリング外周の寸法とベアリングハウジング内周の寸法差
大きい場合:局部的に荷重がかかる → 早期疲労、破損
小さい場合:密着が悪い → 熱伝導が悪いので焼き付き
張り:密着性をよくするため